非人を追放  人間の国  プーチンロシアの種子の自給自足

  • 2018.07.10 Tuesday
  • 23:45

 

 

種子の自給自足を目指す プーチンと財閥の人たち

 

進む海外からの投資とベンチャー

 

 

2020年にまで食料を自給する。この目標をプーチンが宣言してみせたのは、2015年12月のことだった。

 

 

ロシアのような巨大な国で自給を達成するには莫大な食料が必要だ。できるわけがないではないか。そう考える人もいる。

 

事実、旧ソ連は失敗した。けれども、プーチンは違う。その目標は、いまかなり達成されつつある。

 

 

 

インセンティブを欠いた生産者たちによる非効率なソ連型の遅れた巨大な集団農場。

 

多くの人たちは、ロシア農業に対してこんなイメージを抱いている。

 

確かに旧ソ連時代の遺産が完全に一掃されたわけではない。

 

今もロシアには1940年代以前より牛の数が少ない。

 

 

ロシアの農地は2億1,772万㏊もあるが、過去20年で4000万㏊以上もの農地も利用されなくなっている。

 

 

ロシアのアグリビジネス、KPMGのイアン・プラウドフット代表は旧ソ連の巨大農場は明らかに無駄だったと指摘する。

 

 

けれども、いまこうした旧モデルはほとんどが転換している。

 

 

 

プーチンやロシアのビジネス界のリーダーたちの間では、いま最大の関心事となっているのは農業だ。

 

ロシア最大の商業銀行、スベルバンク(ロシア連邦貯蓄銀行)のエフゲニア・チュリコワ頭取は、こう話す。

 

 

「金持ちのロシア人にとって、いま最も熱い投資部門の二つは、農業とヨーロッパでのホテルです。このトレンドは、全く新しいものです」

 

 

しかも、興味深いことに、ロシアの新興財閥、オリガルヒたちの多くが、政府が設けた税制度他のインセンティブによって、ロシア農業に巨額な投資しはじめている。その結果、国民に大きな利益がもたらされるようになってきている。

 

 

 

ロシア政府は2013〜2020年にかけ、農業に480億ポンドを投資することとしているが、その投資は酪農から施設栽培まであらゆる分野に及ぶ。

 

 

 

巨大ハイテク施設有機栽培の展開

 

いま、ロシアで最も裕福なオルガルヒが興味を抱き、未来の成長産業と見なしているのが、ハイテク施設栽培を含めた近代的で利益があがる有機農業なのだ。

 

 

ロシアはコリアンダーでも世界最大の輸出国だが、それは水耕施設栽培、ハイドロポニコによって効率的に生産されている。

 

最新機材やテクノロジーを欠いていることが、自給を目指すプーチンのネックとなっているとの指摘は明らかに誤っているのだ

 

 

プーチンが自給宣言をしたのと同じ2015年12月に、オリガルヒの一人、ロシアの複合企業、システマ社のウラジーミル・イェフトゥシェンコフ(1948年〜)会長は、

 

黒海とカスピ海の間にある「ユズニーの農業複合企業」を購入した。

 

 

気象を人工管理できる施設自体は1990年代から存在していたが123㏊と桁外れの規模を持つ。

修理して技術をアップデートすれば、大量の食料を確実に生産できる。

 

 

 

ヨーロッパの最高峰、コーカサス山脈のエルブルス山からの氷溶水がトマトやキュウリを栽培するために使われ、

この無農薬の生鮮野菜は約18時間かけてモスクワへと運ばれていく。

 

 

2015年度の生産量は4万3000tだが、さらに収量を70%アップするための改善が進行中だという。このユズニーの目玉は、ハイブリッド・トマト、T-34であろう。

 

 

農業の施設化も進んでいる。

 

例えば、カルガ地域では新たに238haの複合施設が建設されている。

 

 

 

 

種子に可能性を見るロス・アグロ社

 

億万長者ヴァジム・モシュコビッチ氏が経営するロス・アグロ社は、砂糖や肉を生産しているが、投資を促す政府のインセンティブ・プログラムからの支援で30億ルーブル(4600万ドル)もの利益をあげ、

 

かつ、その利益に対して税金を支払わず、純利益を33%をあげた。この利益はロシア最大の公共石油会社ルクオイルよりも大きい

 

「国中で農機具がアップグレードされています。ロスや経費削減に向け、いま新技術がマスターされています」とヴァジム代表は言う(4)。

 

 

 

 

種子の自給を次の目標に

 

ロシアは穀物では主要輸出国となり、砂糖の自給も達成しつつある。

 

だが、プーチンは「いまだに輸入種子にあまりにも依存しすぎている」と言う。

 

 

2017年7月。ある一人の学生から「ロシア農業の最大の課題についてコメントして欲しい」と問われるとプーチンはこう述べた。

 

 

 

「農業での進展のペースは良好だ。にもかかわらず、我々はいまだに輸入種子に依存し続けている。これは、近い将来、特別な注意が払われなければならないことだ」

 

 

多くの農業生産者は病害虫耐性や旱魃耐性を備えた種子を用いているのだが、その種子の半分以上が、モンサントやシンジェンタを含めた海外企業から提供されている。

 

その額は580億ドル以上と評価される。そこで、その農業強化のために次の目標としているのが種子なのだ。

 

 

 

食の独立は種子から始まる。ビジネスはより儲かっており、我々は誰にも依存しないレベルへと前進しなければならない」

 

 

 

 

ロシア農業省のピョートル・チェクマレフ穀物局長は言う。

 

 

種子企業は、そのテクノロジーへの特許によって多くを稼いでいる。

 

さらに、種子を自家採種できなくすれば播種毎に農民は毎年種子を買わなければならない。

 

 

モンサントが1日につき260万ドル以上という桁外れの研究開発費を投じて、独自の種子を作ろうとしているのもそのためだ。

 

 

 

一方、ロシアにとっては、原油価格の下落、ルーブル価値の下落、ウクライナでのロシアのクリミア併合と関連した外国からの経済制裁によって、すべての輸入品が高くなった。

 

 

それには、種子も含まれる。自国内で研究した方が、おそらく安い。

 

 

農薬製造会社、シェルコヴォ・アグロヒム社は、ロス・アグロと協働で、育種と遺伝学センターを建設するため今後5年間で5億ルーブル(900万ドル)を投資する。

 

 

そうシェルコヴォ・アグロヒムのサリス・カラコトフ社長は言う。2017年にはダイズの種子に投資し、2018年は穀物の種子に投資するとロス・アグロのモシュコビッチ社長も言う。

 

 

 

オレグ・デリパスカ社長の種子会社、Kuban AgroHolding unitは、トウモロコシ、ヒマワリ、菜種の種子を開発するため、2015年にフランスのMaisadour Semences社と協力しており、いま協同開発されたトウモロコシの種子をテストしていると言う。

 

 

ロシアにおける企業の種子への投資がまだ比較的小さいが、国内種子産業を発展させるためのインセンティブは高まっている。

 

 

 

 

非GMOの在来種で生産量をあげる

 

 

農業生産分野において改善のための余地は多くはない。

 

「ですが、「私は、種子にその可能性を見ています。国内の育種家は、ロシアが何千万トンも穀物収量を増やす助けになります」と、モシュコビッチ社長は言う。

 

 

ロス・アグロ社が、地元種子を開発しようとしているのは、それが、ロシアの気候風土に合い、病害虫に対してよりレジリアンスがあり、かつ、海外製品より収量がよいかもしれないからなのだ。

 

 

 

事実、モスクワ物理工科大学のゲノム工学研究所パヴェル・ヴォルチコフ所長によれば、国内でより良い種を開発することは、最終的に収穫産出高を20%も押し上げることができる。

 

 

グローバルな種子企業は、研究室で植物遺伝子を接合(splicing)することによって種子を作り出している。

 

このテクノロジーは米国で一般化され、いまほとんどのトウモロコシやダイズは遺伝子が組み換え種子から作り出されている。

 

ここが、ロシアと大きく違う点だ。

 

ロシアは、健康、環境、そして、生物多様性への認められたリスクからGMOを禁止している。

 

そこで、GMO種子の特徴を持ちながら、開発に10年もの長い歳月がかかるハイブリッド種子の開発に取り組んでいる。

 

他品種と何度も交配し、望ましい種子の特徴が得られまでの品種開発には10年はかかる。

 

さらに、国内産業が市場を掌握するまでにも何年もかかるかもしれない。とはいえ、そのメリットは図り知れない。

 

 

 

米国において今GMOの利用を禁じれば、農業生産から食品製造業まで完全に急変する。けれども、ロシアにおいてはGMOはまだ進んでいない。これも脱GMO革命に有利な点だ。

 

 

その一方で、ロシア政府や地方政府は、大規模産業を成長させる一方、地域経済を構築することに対しても強い関心を抱いている。

 

そして、自給自足のフード・システムを構築するためには、小規模農場も大切なのである。

 

(2018年6月24日投稿)

【地名】

エルブルス(Elbrus)山

カルガ(Kaluga)

 

 

http://semilla.seesaa.net/article/460165777.html

 

 

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